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コラム:個人再生手続の開始決定後に遺産を相続した場合

2026.07.09
1 はじめに

例えば、小規模個人再生の申立てをしようとしている場合において、申立時の負債が600万円、清算価値が40万円の場合、120万円(600万円✖5分の1)を原則3年間で弁済していくことになります。もっとも、個人再生の手続が開始した後、申立人の父が亡くなり、父の遺産として300万円相当を相続することになった場合、弁済額は申立時のまま据え置きなのか、それとも相続した分だけ増えるのかが問題となることがあります。

2 清算価値保障原則の基準時は認可決定時

民事再生法236条は、「小規模個人再生において再生計画認可の決定が確定した場合には、計画弁済総額が、再生計画認可の決定があった時点で再生債務者につき破産手続が行われた場合における基準債権に対する配当の総額を下回ることが明らかになったときも、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。」と定めています。この規定より、当該再生計画案に基づく弁済額は認可決定時の清算価値を下回ってはいけないことが読み取れます。したがって、清算価値保障の基準時は、開始決定時ではなく、認可決定時と解されています(事例解説個人再生大阪再生物語〔第3版〕p143)。

そうすると、先の事例では、弁済額は、申立時の清算価値40万円+遺産相当額300万円=340万円を下回ってはいけないことになります。

3 開始決定後に資産を価値を評価し直す場合

以上のとおり清算価値の基準日は認可決定時ではありますが、実際は、申立時に提出した財産目録に基づく清算価値を、認可決定時の清算価値とみなしてよいことが大半です。というのも、通常、申立時から認可決定時までの3~4か月の間に財産の価値が大幅に増えることはないためです。

もっとも、住宅がアンダーローンの場合において住宅資金特別条項を付けた再生計画案を作成するケースでは、弁済許可に基づき開始決定後も従前どおり住宅ローンを払うことになります。そうすると、申立時から認可決定時までに清算価値が上がることは間違いありません。そのため、再生計画案提出時点において、自宅の清算価値を再計算する必要があります。

また、財産目録に株式、FX、暗号資産など短期間に価値が増加するような資産がある場合も、再生計画案提出時に、それらの資産の価値を再計算する必要がでてきます。

4 破産との比較

以上のとおり、個人再生の場合、申立人は、開始決定日以降の清算価値の増加分も弁済しなければいけないことになります。これに対し、破産の場合、固定主義との関係で、開始決定時の財産を超えて配当原資になることはありません。

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