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コラム:給与所得者等再生の概要

2026.06.22
1 はじめに

平均年収が高い方、単身者世帯の方、子がいないなど扶養家族数が少ない方が個人再生手続をする場合、給与所得者等再生よりも、小規模個人再生のほうが最低弁済額が低くなります。もっとも、債権者の中にいつも不同意の回答をする債権者が混じっており、小規模人再生の追行が途中で困難となることが想定される場合は、給与所得者等再生の申立てを行うことになります。

2 利用開始要件

では、給与所得者等再生はどのような場合に利用できるのでしょうか。

まず、給与所得者等再生は、小規模個人再生の特則の手続のため、小規模個人再生の利用開始要件を充足する必要があります。そのため、①個人であり、②将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、③再生債権の総額が5000万円を超えないことが必要です(民事再生法221条1項)。

また、給与所得者等再生に特有の要件として、④給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、⑤その額の変動の幅が小さいと見込まれることが必要となります(同法239条1項)。

3 可処分所得
1 はじめに

小規模個人再生の場合、再生計画案を作成する際、①再生債権額基準による最低弁済額を下回らないこと、②清算価値を下回らないことの2要件を満たす必要があります。

小規模個人再生の特則である給与所得者等再生の場合、①②に加えて、③最低弁済額が可処分所得額の2年分以上の額であることが必要とされています(同法241条2項7号)。

おおまかにいえば、1年分の手取り収入額から1年分の最低生活費を控除した金額が可処分所得の1年分になりますので、これを2で乗じた金額が可処分所得の2年分となります。以下、1年分の手取収入額、1年分の最低生活費について具体的にみていきます。

2 1年分の手取収入額

1年分の手取り収入額とは、再生計画案提出前の2年間の再生債務者の収入の合計額から、その期間の所得税額、住民税額、社会保険料を控除した金額を2で割った金額になります。

2年間の再生債務者の収入は源泉徴収票等を参照することになります。なお、再生債務者が給料の他に公的給付など別の収入がある場合はそれも加算します。他方で、同居者の収入は加算することはありません。

また、所得税額や社会保険料は源泉徴収票等を、住民税額は所得証明書等を参照することになります。

3 1年分の最低生活費

条文上は、「再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額」と定められています(同法241条2項7号)。

そして、上記費用の額は、「再生債務者及びその扶養を受けるべき者の年齢及び居住地域、当該扶養を受けるべき者の数、物価の状況その他一切の事情を勘案して政令で定める。」(同法241条3項)とされています。

これを受けて、民事再生法第二百四十一条第三項の額を定める政令1条は、上記金額について、①個人別生活費の額、②世帯別生活費の額、③冬季特別生活費の額、④住居費の額、⑤勤労必要経費の額をそれぞれ計算して、合算すると定めています。①~⑤は、生活保護費を基準に算出されています。

なお、「その扶養を受けるべき者」の範囲は法令に定めはありませんが、実務上は、源泉徴収票の控除対象配偶者欄や控除対象扶養親族欄に記載があるかで確認することになります。

また、実際の賃料が④住居費の額を下回る場合、控除されるのは実際の賃料にとどまります。反対に、④住居費の額を上回る賃料を払っている場合でも、控除できるのは④住居費の額に限度となります。

4 再生計画案の意見聴取決定

給与所得者等再生は、可処分所得の2年分を弁済することを通してできる限りの弁済をするのを条件として、再生債権者による再生計画案の決議を省略することとなっています(ここが小規模個人再生との決定的な違いになります。)。そうだとしても、再生債権者の権利を不利益に変更することは間違いないので、フリーハンドというわけではなく、裁判所は、「・・再生計画案を認可すべきかどうかについての届出再生債権者の意見を聴く旨の決定をしなければならない。」(同法240条1項)としています。

したがって、仮に再生債権者から意見が出た場合であったとしても、裁判所は、当該意見に拘束されることなく、独自に、再生計画案を認可するべきかを判断することになります。

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