1 はじめに
建物賃貸借において、建物明渡後、貸主側の依頼した業者が原状回復を行う場合、借主は原状回復までの期間に相当する損害金を負担しなければいけないかが問題となることがあります。
2 裁判例について
貸主としては、原状回復工事に必要な相当期間、建物を第三者に賃貸することができません。そこで、貸主側からすれば、その間の賃料相当額は借主の債務不履行により通常生ずべき損害であるとして、借主がその支払義務を負うべきと主張したいところです。
この点について、東京地判平成21年1月16日は、「一般に、建物賃貸借契約において、当該契約終了に基づく建物返還後、少なくとも通常想定しうる範囲の原状回復工事に必要な相当期間については、特段の合意のない限り、賃借人に賃料等を負担させないものとするのが通例」と判断しています。
この裁判例によれば、賃貸借契約書等において当事者間で「特段の合意」が認められない場合、借主は原状回復までの期間に相当する損害金を負担しなくてもよいことになります。
