TOPICS

コラム:換価分割について

2025.01.13
1 換価分割とは

遺産を売却してその売却代金を相続分に応じて分割する方法をいいます。

 

2 換価分割が選択されるケース

現物分割が困難な場合、代償分割の場合に相続人が代償金を支払う能力がない場合などになります。

 

3 換価分割の種類
1 全体像

①任意売却、②中間処分としての換価、③終局審判での売却方法の3種類があります。実務上は、①がメジャーになります。③→②→①の順に説明していきます。

 

2 終局審判での売却方法

いわゆる形式的競売の手続で換価されることになります。当事者間で利害対立や不信感等があるため後述の任意売却の合意ができない場合に選択される手続になります。

まず、当事者は裁判所に対して競売の申立てを行うことになります(調停成立後に自動的に競売の手続に進むわけではありません)。

また、申立てに際しては手続費用を予納することになります。その上、申立てに先立ち当事者全員に共有持分移転登記を行っておく必要があります(後述の任意売却の場合は必須ではない。)。このように申立人となった相続人がそれらの費用を一時的に負担しなければなりません。

デメリットとしては、①一般に競売による場合は代金が低額になる、②換価という新たな手続を経なければいけないので時間がかることが挙げられています。

 

3 中間処分としての換価

将来の遺産分割の審判に備えてする中間処分として、①形式的競売をして換価することを命ずる裁判(職権による)、②任意売却して換価することを命ずる裁判の二種類があります。

実務上、中間処分としての換価はほとんどないと言われています。そのため、調停では、審判になれば任意売却はできないので全て競売になるとして、任意売却を勧められることが多いと言われています。

 

4 任意売却

当事者の合意に基づいて売却する方法になります。前述の終局審判での売却方法との比較で、①高額での売却が可能、②早期の手続進行が期待できるといったメリットがあると言われています。

当事者間では、実際に任意売却の段階になってからのトラブルを避けるため、以下の内容について取り決めを行い、(どこまで詳しく盛り込むは事案によりますが)調停条項に入れることが一般的です。
①最低売却価格、②売却期限、③売却代金から控除する費用の項目(例えば不動産仲介手数料)、④売却当事者(受任者)、⑤相続手続及び所有権移転登記手続費用、⑥司法書士費用の清算方法、⑦売却が不奏功となった場合の措置(例えば競売を申して立てることができる旨-競売条項を付する)、⑧売却担当者の経過報告、⑨売却担当者以外の協力義務など

なお、場合によっては、任意売却の前提として、土地の測量、筆界特定の作業、建物内の動産の処理が必要なケースもあります。

また、調停成立前に売却に至るケースは少ないため、実際の売却活動は調停成立後に行われることになります。

さらに、①最低売却価格を設ける場合、早期に売却できない場合がある、というデメリットがあります。

また、任意売却のために特定の相続人にいったん単独相続させる方法もありますが、他の相続人からすれば、その相続人がいつまで経っても任意売却に着手しない、他の相続人は任意売却に関与できないので相場よりも極めて低額で売却されることにより低額の金額しか取得できないリスクがあります。

これに関連して売却の前提として共有持分登記をする場合もありますが、この場合は相続税を負担した上で不動産譲渡税も負担することになるため注意が必要とされています。

無料相談

無料相談

078-361-3370

078-361-3370

お問い合わせ

お問い合わせ