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コラム:推定相続人の廃除

2023.12.13
1 廃除とは

民法892条によれば、「遺留分を有する推定相続人・・が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」は、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求すすることができます

遺留分を有する推定相続人」とあるので、廃除の対象となりうるのは、第1順位、第2順位の相続人になります。つまり、第3順位の相続人は遺留分を有しないので、そもそも廃除の問題とはなりません。

廃除が認められると、推定相続人は遺留分も失うことになります。このように廃除は相続権を失わせる強力な制度なので、家庭裁判所は、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があった」とはたやすく認めません。統計では、廃除が認められるのは20%程度と低率にとどまっています。

 

2 廃除の種類

ところで、民法893条は、「被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。」と定めています。これは、遺言による廃除の規定になります。遺言書で廃除の定めを設けた場合、遺言者の死後、遺言執行者は家庭裁判所の廃除の請求をすることになります。

このように、民法892条が生前の廃除、民法893条が死後の(遺言による)廃除の規定となります。
一般的には、遺言による廃除は生前廃除に比べて認容率が低いと言われています。というのも、遺言による廃除の場合、遺言者は既に亡くなっているので、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があった」ことを裏付ける証拠資料がない可能性が高いからです。そのため、遺言による廃除を行う場合、事実実験公正証書などで虐待などを基礎づける具体的事実を記録化しておくことが必要となります。

 

3 代襲相続の場合

民法887条2項では、「被相続人の子が、・・・廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」と定められています。

したがって、仮に被相続人の子の廃除が認められたとしても、当該相続人の子(被相続人からみて孫)が被相続人を代襲相続することになります。被相続人が孫であれば相続させてもよいと考えていたのであればよいですが、そうでない場合、廃除の請求をする実益は乏しいと言わざる得ないので、注意が必要です。

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