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コラム:個人再生の受任通知後にギャンブルで浪費した場合

2026.07.12
1 はじめに

個人再生の手続を行う場合、まずは債権者に対し受任通知を発送して、いったん全ての支払いを停止することになります。債務者としては、支払停止後、各債権者への多額の支払いから一気に解放されることになるため、申立代理人に隠れて、余剰金を、競馬、競艇、FXなどのギャンブルで浪費してしまうこともあります。このように受任通知後に浪費をした場合、個人再生手続との関係でどのよう問題が生じることになるかについて説明していきます。

2 清算価値に浪費分を上乗せされる可能性

受任通知後に浪費した分は、浪費がなかったとすれば清算価値に計上されていたはずです。そこで、裁判所より、浪費分を清算価値に計上した上で再生計画案を作成するよう求められることがあります(事例解説個人再生大阪再生物語〔第3版〕p243脚注3)。

もっとも、例えば、負債が500万円以下の場合の最低弁済額は一律100万円となります。そして、当初の清算価値が20万円、受任通知後の浪費分が70万円の場合、清算価値は20万円+70万円=90万円となります。このように最低弁済額100万円>清算価値90万円となるため、再生債務者は、100万円を払うことになるので、結局、浪費分70万円の上乗せは実質的にはなかったことになってしまいます。

3 不誠実な申立てとして棄却

そこで、このよう場合、当該申立てが「誠実にされたものでないとき」(民事再生法25条4号)に該当し、申立てそのものが棄却されるべきではないかという問題も生じることになります。一般論としては、浪費した額の大小、問題発覚後の対応などを踏まえて要件該当性が判断されることになります。

4 個人再生委員が就く可能性

大阪地裁の運用では、申立代理人が弁護士の場合は個人再生委員は原則として就かないとされています。もっとも、受任通知後に浪費行為が認められた場合、浪費の程度などの諸事情を考慮の上、個人再生の手続開始時、個人再生委員が就く可能性があります。

個人再生委員が就く場合、予納金として33万円を納めなければならないとされています。そうすると、再生債務者としては、受任通知後に浪費をしたばかりに、本来納めなくてもよい多額の予納金を追加で納めることになってしまいます。

5 まとめ

以上、個人再生の受任通知後、一斉に支払停止となることによって幾ばくか余剰金が生じて、少しの気の緩みからギャンブルにのめりこんでしまって多額の金銭を浪費してしまうことも想定されます。その場合は、最悪のケースでは申立てが不誠実と判断されて棄却されることになりますし、そうでなくても清算価値に浪費分を上乗せして再生計画案を作成しなければいけなくなったり、あるいは個人再生委員が就くことになり追加で多額の予納金を納めなければいけなくなるなど金銭的負担を強いられることになりますので、生活面について十分に注意する必要があります。

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