1 はじめに
飲食店を経営する個人事業主が個人再生を行う場合において、リースしている業務用の冷蔵庫を引き続き利用することを希望する場合、どのような処理をする必要があるのでしょうか。
2 問題の所在
リース料債権は別除権付き再生債権になります。このようにリース料債権は再生債権であるため、再生債務者は、再生手続開始後、リース会社に対しリース料を弁済することは禁止されています(民事再生法85条)。
一方、リース料債権は別除権でもあるため、リース会社は再生手続外で別除権を行使することができます(同法53条2項)。そうすると、再生債務者が手続開始後にリース料の支払いを怠った場合、リース会社が別除権行使によりリース物件を引き揚げることもできてしまいます。
再生債務者としては、リース物件を引き揚げられたとしても、同等の商品を購入すれば足りますが、購入コストよりも残リース料を払ってリース物件を使った方が低コストの場合もあります。そこで、再生債務者は、個人再生の手続が開始された後も、リース物件の価値相当額を支払うことによりリース物件を引き続き利用するニーズがあります。
3 別除権協定
そこで、個人再生の手続開始後、再生債務者は、リース会社との間で、リース物件の価値相当額を支払って、リース物件を受け戻すという内容の協定を交わすことが考えられます。この別除権協定に基づく受戻代金支払請求権は、「再生手続開始後の再生債務者の業務・・に関する費用の請求権」(同法119条3号)にあたり、共益債権に該当するとされています。
大阪地裁では、別除権協定を締結するに際し、裁判所の許可は必ずしも必要ないとされています。もっとも、別除権協定は、再生債務者の業務にとって必要不可欠な物件であることが必要なので、申立時、必要不可欠性について上申する必要があるとされています。
4 再生計画案について
別除権協定を締結した場合、再生計画案では、「共益債権及び一般優先債権は、随時支払う。」という定型文言の後に、例えば「●●株式会社のリース料債権について、令和7年●月●日締結の弁済協定により、令和7年●月から令和●年●月まで、毎月末日限り、2万円ずつ、合計●万円を支払う。」といった条項を設けることが考えられます。
