1 原則
申立時の財産目録に記載のなかった資産は、原則として、自由財産の拡張が認められない運用となっています。例外として、やむを得ない事情が認められる場合、自由財産拡張が認められることがあります。
例えば、申立時の財産目録に記載のなかった預貯金が破産手続開始決定後に新たに発見された場合、その預貯金については自由財産拡張は認められないことになり、破産管財人は破産財団として換価することになります。
2 柔軟な運用
もっとも、柔軟な取り扱いも可能とされているところです。例えば、故意の隠匿ではない場合、金額次第では、柔軟な検討がなされることになる、とされています。また、厳密な意味でやむを得ない事情が認められない場合であっても、「申立書の財産目録に記載されていなかった財産の額が少額で、大勢に影響を及ぼすことが無いような場合には、財産目録に記載があったのと同じように取り扱っても差し支えないでしょう。」という指摘もあるところです。
3 まとめ
破産したとしても、破産者は、本来的自由財産(現金や小規模個人共済など)、拡張された自由財産の合計額が99万円の範囲内に収まれば、それらを換価されることはありません。しかし、申立時の財産目録に記載していない財産については、例外的な事情がない限り自由財産として拡張されることはありません。実際の運用では、例外的な事情は緩やかに解されている場合もあるようですが、破産管財人の判断次第ということもあります。そこで、破産者側とすれば、破産申立時の財産目録には全ての財産を正確に記載する必要があります。
