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コラム:法人破産と代表者の役員報酬

2025.04.26
1 はじめに

法人が破産する場合、事業停止前、従業員に対して給料(財団債権)を支払ったり、解雇予告手当(優先的破産債権)を支払うことは認められています。他方で、代表取締役など役員の報酬は労働債権ではありませんので、役員に対して従業員と同様に支払うことは原則として認められていません。

 

2 認められる場合

例外として、定評のある文献によれば、「従業員に対する労働債権を支払うことができるのであれば、生活給付的な範囲で代表取締役の役員報酬を支払うことは許容される。」とあります(法人破産申立て実践マニュアル215頁・脚注6)。

そこで、例えば、法人が、事業停止前、労働債権及び解雇予告手当を全額払っているのであれば、生活給付の範囲内において役員報酬を支払うことは認められる可能性があります。生活給付の範囲内の金額がいくらになるのかは難しい問題ですが、家族の人数、従前の役員報酬の額などを様々な事情を総合考慮して決することになると思われます。したがって、申立人の立場からすれば、破産手続開始決定後、破産管財人に対して、支払った役員報酬の額が生活給付の範囲内であると説明できるようにしておく必要がありますし、申立時点で上申書を提出することも検討するべきと思われます。

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