1 はじめに
刑事訴訟法の改正により、保釈条件に反して制限住居を離れた場合は罪になることになりました。以下、簡単に説明していきます。
2 制限住居離脱罪
刑事訴訟法95条の3第1項では、「裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。」と定められています。
例えば、裁判所が、兵庫県神戸市内の住居を制限住居とし、3日間を超えて当該制限住居を離れてはいけないという条件を付して保釈許可決定をしたとします。それにもかかわらず、被告人が、保釈後、5日間、制限住居に戻らなかった場合、制限住居離脱罪が成立することになります。
3 犯罪捜査規範
犯罪捜査規範253条1項では、「警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し・・・た者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない。」とされています。
被告人としては、保釈決定により釈放された後、制限住居を長期間離れたとしても発覚しないだろうという安易な考え持つかもしれません。しかし、上記規範によれば、警察は被告人の行動になんら無関心というわけではないので、注意が必要となります。
4 最後に
以上のとおり、保釈許可決定の際に指定された制限住居に一定期間戻らなかった場合、改正前においても、保釈許可決定が取り消されたり、保釈金が没収される可能性がありましたが(刑事訴訟法96条1項、2項)、改正法のもとでは新たな罪が成立することになるので、注意が必要になります。
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