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コラム:共有の見直し~軽微変更・短期の賃借権の設定など

2024.08.01
1 はじめに

改正法では共有の見直しが行われました。以下では、軽微変更、短期の賃借権の設定について説明します。

 

2 軽微変更

現行法では、共有物の変更を行う場合、その変更の程度を問わず、一律で、共有者全員の同意が必要でした。しかし、これでは共有物の円滑な利用が阻害されることになります。そこで、改正法では、共有者全員の同意が必要とされる共有物の変更は「その形状又は効用の著しい変更を伴」うものに限定し(民法251条1項)、そうではないもの、つまり共有物の軽微な変更については、「共有物の管理に関する事項」として「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。」とされました(民法252条1項)。

 

3 短期の賃借権等の設定

共有物を賃借する場合、共有者は賃借期間によっては長期にわたり共有物の使用収益をすることができない不利益を被ることになります。そこで、改正法では、以下の4つに該当する貸借は「共有物の管理に関する事項」として「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。」とされました(民法252条4項)。他方、それ以外の貸借は「その・・効用の著しい変更を伴」うものとして共有者全員の同意が必要(民法251条1項)と整理されることになりました。
・樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等→10年(1号)
・前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等→5年(2号)
・建物の賃借権等→3年(3号)
・動産の賃借権等→6箇月(4号)

 

4 共有物を使用する共有者がいる場合の管理に関する事項の決定

甲、乙、丙が土地を3分の1ずつ共有している場合において、甲が共有者間の決定に基づかずに共有物を使用していたとします。この場合、共有物の使用者を甲から乙に変更することについて、乙と丙が賛成すれば可能となります(252条1項後段)。

これに対し、甲が共有者間の決定に基づいて共有物を使用していたとします。この場合でも、共有物の使用者を甲から乙に変更することについて、乙と丙が賛成すれば可能となるのが原則です(252条1項後段)。

もっとも、これにより甲が大きな不利益を被る場合もありえます。そこで、改正法では「・・共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」とされました(同条第3項)。つまり、先の事例では、甲が承諾しない限り使用者の変更は強行されないことになります。

 

5 最後に

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