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コラム:個人事業主が破産後も事業用資産を使用する場合

2024.05.21
1 はじめに

事業規模が一人親方や職人で、年間数百万円程度の売上げで、就職や他の仕事に就くことが難しい場合、給与所得者とのバランスから、破産手続後も事業継続を認められる可能性があるとされています(実践破産実務フォーラムp237)。

破産者が破産手続開始後も事業継続を行う場合、事業用財産(例えば機械工具類)を継続して使用する必要がでてきます。では、どのような場合に認められるでしょうか。以下、3つの場合を説明していきます。

 

2 差押禁止財産に該当する場合

事業用資産が「業務に欠くことができない」と認められる場合は、自由財産に該当することになり、破産手続開始後も継続して使用することができます(民事執行法131条6号)。

「業務に欠くことができない」動産であるか否かの判断は、破産者の仕事の規模や態様、当該財産を利用することができないことによって受ける影響の程度等の個別具体的な事情を考慮して決定されることになります(破産・個人再生の実務Q&A~はい6民です お答えします90頁)。

そこで、破産者は、上記の考慮要素に基づき、当該事業用資産が「業務に欠くことができない」ことを破産管財人に説明する必要があります。

 

3 無価値の場合

当該事業用資産が差押禁止財産に該当せず破産財団に属するとしても、その価値がないと認められれば、破産者は、破産管財人が破産財団から放棄することにより使用を継続できます。長期使用の機械類などはこれに当たる場合があります(破産・個人再生の実務Q&A220問96頁

そこで、破産者としては、業者から見積りを得るなどして当該事業用資産が無価値であることを破産管財人に説明する必要があります。

 

4 自由財産拡張

当該事業用資産が相応の換価価値が認められるとしても、自由財産の拡張により使用継続が認められる場合があります(同上)。

もっとも、事業用資産は、原則として定型的な拡張適格財産には含まれないとされています。例外として、破産者の生活状況や今後の収入見込み、拡張を求める財産の種類、金額その他の個別的な事情に照らして、当該財産が破産者の経済的再生に必要かつ相当であるという事情が認められる場合には、拡張適格財産となります(破産・個人再生の実務Q&A~はい6民です お答えします~169頁)

そこで、破産者は、当該事業用資産が例外的に拡張適格財産に該当することを破産管財人に説明する必要があります。

 

5 最後に

以上、個人事業主が破産後も事業用資産を使用する場合について説明しました。のむら総合法律事務所では、自己破産のご相談について無料で承っております。一度ご連絡ください。

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