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コラム:休業期間が問題となった裁判例

2024.04.30
1 休業期間とは

休業損害とは、基礎収入×休業期間で算定することになります。

休業期間とは、原則として、現実に休業した期間になります。もっとも、症状の内容・程度、治療経過等からして就労可能であった場合(休業の必要性が無かった場合)、現実に休業していたとしても、賠償の対象とはなりません。

以下では、交通事故の被害者が実際に休業したものの、休業の必要性がなかったとして、休業損害が認められなかった裁判例を紹介します。

 

2 大阪地裁令和3年9月7日(自動車保険ジャーナル2108号掲載)
1 事案

事故時ガソリンスタンドの従業員であった被害者は、自転車に乗って横断歩道を走行中に左折してきた自動車に衝突し、左肩疼痛の後遺障害12級(自賠責)となりました。なお、労災保険からは休業給付金が出ていました。

 

2 判旨

裁判所は、被害者の主たる症状は肩痛であったこと、被害者の仕事はパソコン作業が中心的業務であったこと、医師による休業指示がなかったことから、休業損害を認めませんでした。

「原告は、本件事故後、平成27年12月9日から平成28年1月17日までの40日間のほか、同月20日と同年5月16日を全日休業し、同年3月9日、7月4日、同月26日、同月27日を一部休業したとして、労災保険から19万1620円の休業給付金を支給されている(甲8、調査嘱託の結果)。
しかし、本件事故後の原告の主たる症状は肩痛であり(別紙「診療経過一覧表」参照)、その一方、原告の仕事はガソリンスタンドの事務員で(前提事実1(1))、パソコンを使用した事務作業が中心的な業務であったというのであるから(原告本人7、8頁)、人手が足りない時に洗車作業を行うことがあり、その洗車作業はほぼ毎日あった(同7、8、23頁)という点を踏まえても、肩痛のため直ちに就労自体が困難であったということはできず、医師による休業指示があったとも窺われない。」

 

3 大阪地裁令和4年6月28日(自動車保険ジャーナル2132号掲載)
1 事案

フルーツをクラブ等の飲食店にバイクで配送する自営業者の休業損害が問題となりました。

 

2 判旨

「・・・原告が受託していた上記業務は、原告車両(バイク)にてフルーツをクラブ等の飲食店に配送するものであったと窺われ(弁論の全趣旨)、身体的負荷は決して高くなく、車両を運転できさえすれば実施可能な業務であろうと考えられるが、原告は、本件事故後、B病院に自走にて通院し、その後の通院にも自家用車を使用していて(甲8)、車両の運転ができていたと窺われる。また、原告の所定勤務(業務)時間は午後7時から午前2時までであったから(甲9、弁論の全趣旨)、通院のために上記業務に従事できないものではない。このことに加え、原告に実際の減収が生じたことを示す適確な証拠が提出されないことも踏まえると、原告が上記業務を休業したと認めるには足りず、休業の必要性があったとも認めることはできない。したがって、原告に本件事故による休業損害が生じたとは認められない。」

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