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コラム:債務引受について

2024.03.01
1 はじめに

債務引受とは、債務を引受人に移転することをいいます。債務引受には、併存的債務引受、免責的債務引受の2種類があります。

併存的債務引受とは、引受人は新たに債務を負担し、債務者も引き続き債務を負担する場合です。これに対し、免責的債務引受とは、引受人は新たに債務を負担し、債務者は債務の負担を免れる場合です。

旧法下では、併存的債務引受、免責的債務引受は判例法理として認められていましたが、その要件、効果について明文規定がありませんでした。そこで、改正法では、新たに明文規定を設けることにしました。

 

2 併存的債務引受
1 要件

まず、債権者と引受人となる者の契約により併存的債務引受をすることができます(民法470条2項)。併存的債務引受は保証と類似しているため、主債務者の意思に反する保証が認められている(民法462条2項)ことと揃えたほうがよいという考慮に基づきます。

また、債務者と引受人となる者との契約によってすることができます(民法470条3項第1文)。この場合、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、債務引受の効力を生ずることになります(民法470条3項第2文)。

この点について、第三者のためにする契約は、二者間で成立するが、第三者(受益者)の意思表示により効力が発生します(民法537条3項)。債務者と引受人との契約による併存的債務引受は、第三者のためにする契約と同じ構造になります。

 

2 効果

併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担することになります(民法470条1項)

 

3 免責的債務引受
1 要件

債権者と引受人となる者との契約によって免責的債務引受をすることができる(民法472条2項第1文)。

判例は、免責的債務引受が第三者弁済と類似構造であるところ、第三者弁済は債務者の意思に反してできないので(民法474条2項)ので、免責的債務引受も債務者の意思に反しないことが要件となるとしていました。しかし、債権者と引受人との間で併存的債務引受をし、債権者が債務者に対し債務免除をすれば、債務者の意思に反し、免責的債務引受ができます。そこで、改正法では、債務者の意思に関係なく免責的債務引受が可能としました。

また、債権者と引受人となる者との契約の場合、債務者が免責的債務引受を知らずに弁済してしまうことを防ぐため、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に効力を生ずることになります(民法472条2項第2文)。

なお、免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができます(民法472条3項)。

 

2 効果

免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れることになります(民法472条1項)。

 

4 最後に

以上、債務引受について説明しました。お困りの方は、のむら総合法律事務所までご相談ください。

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