1 はじめに
破産者が、破産手続開始決定後、亡くなった場合、破産手続、免責手続はそれぞれ終結するのか、それとも続行するのかが問題となります。以下では、この点について説明していきます。
2 破産手続
破産者が破産手続開始決定後に亡くなったとしても、破産手続は終了することはなく、その相続財産の破産手続として続行されることになります(破産法227条1項)。
そこで、破産申立代理人としては、破産者が亡くなった後、破産裁判所(破産管財人含む)に対し、破産者が亡くなったことを除籍謄本や死亡診断書とともに報告することになります。
※参考:破産法227条1項
「裁判所は、破産手続開始の決定後に破産者について相続が開始したときは、当該相続財産についてその破産手続を続行する。」
3 免責手続
破産者が破産手続開始決定後に亡くなった場合、上述のとおり破産手続は相続財産について続行されることになりますが、免責手続は当然に終了すると解されています。
免責手続が終了するとなれば、破産債権者は、破産者の相続人の固有資産に対しかかっていくことができることになります。
そこで、破産者の相続人としては、破産者の債務の支払いを免れるため、破産者が亡くなったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述を行わなければいけません(民法915条1項)。
なお、破産者の相続人は免責の申立てをすることはできません。
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4 最後に
以上、破産者が破産手続開始決定後に亡くなった場合のおける破産手続と免責手続の帰趨について説明しました。自己破産については一般的なことは関連記事をご参照ください。
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