1 はじめに
個人再生手続(一般的なことは関連記事をご参照ください)において、再生債務者の親族が死亡し、法定相続人の一人として遺産分割協議を行った場合、清算価値をどのように算定するかが問題となります。
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2 否認対象の場合は清算価値算入
遺産分割協議によって再生債務者以外の相続人が法定相続分よりも多い財産を取得している場合、否認対象となる可能性があります(個人再生の手引き第2版250頁)。
したがって、具体的な相続分を法定相続分よりも少ないものとする遺産分割協議をした場合、同協議が否認対象行為となり、具体的な相続分-法定相続分を清算価値に算入しなければならない場合があるとされています(同261頁)。
もっとも、再生債務者の具体的な相続分が法定相続分を少しでも割り込めば否認行為にあたるとするのは不合理です。
また、再生債務者の取得分が法定相続分を割り込んでいたとしても、再生債務者以外の相続人の寄与分が認められるのであれば、再生債務者の取得分が法定相続分よりも少なかったとしても否認行為にあたらない可能性があります。
そのため、再生債務者の具体的な相続分が法定相続分を下回ったとしても、機械的に差額分を清算価値に含めるということにはならない、という見解もあります(以上につき季刊事業再生と債権管理174号参照)。
3 最後に
以上、遺産分割と個人再生における清算価値の算定について説明しました。個人再生手続の流れについては関連記事をご参照ください。
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