1 はじめに
破産法34条1項によれば、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産・・は、破産財団とする。」とされています。
もっとも、同法34条3項2号によれば、「差し押さえることができない財産」については破産財団に属しない、とされています。すなわち、「差し押さえることができない財産」(差押禁止財産)は、99万円以下の現金と同様、本来的自由財産に該当します。
そこで、特別法において差押禁止財産とされているもののうち代表的なものを紹介していきます。
2 差押禁止財産
1 確定給付企業年金受給権
確定給付企業年金法34条本文では、「受給権は、・・・差し押さえることができない。」とされています。
2 確定拠出年金受給権
確定拠出年金法32条1項本文では、「給付を受ける権利は、・・・差し押さえることができない。」とされています。
3 小規模企業共済受給権
小規模企業共済法15条本文によれば、「共済金等の支給を受ける権利は、・・差し押さえることができない。」とされています。
4 中小企業退職金共済受給権
中小企業退職金共済法20条本文によれば、「退職金等の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」とされています。
3 個人再生手続との関係
個人再生手続では、弁済額は清算価値を下回ってはいけないとされています。これを清算価値保障原則といいます。清算価値保障原則については関連記事もご参照ください。
例えば、小規模企業共済が100万円以上あったとします。この場合、小規模企業共済は、差押禁止財産に該当するため、清算価値には計上しない(0円として評価する)ことになります。
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4 最後に
自己破産手続一般については関連記事をご参照ください。
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