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コラム:面会交流とその実現方法

2023.12.10
1 はじめに

監護親と悲監護親との間で未成年者の面会交流について取り決めがなされることがあります。もっとも、決めた面会交流実施要領に従って面会交流がなされず、非監護親が監護親に対し裁判所を介して履行を求めることもあります。
そこで、以下では、まずは面会交流について説明した後、面会交流の実現方法の一つである間接強制を中心に説明していきます。

 

2 面会交流の内容

面会交流には、直接交流、間接交流があります。
直接交流とは、非監護親が未成年者と実際に会って交流する面会方法です。他方、間接交流とは、非監護親に未成年者の写真を送ったり、未成年者と手紙や電話により交流する面会方法になります。

直接交流を実施する場合、前提として監護親と非監護親の間に信頼関係があることが必要です。お互い信頼関係がない、高葛藤事案において、無理に直接交流を実施する場合、かえって未成年者は両者の間で板挟みになり、心理的ストレスを感じることがあります。そのため、両者の間に信頼関係が構築されるまでの間、間接交流を選択することがあります

 

3 面会交流の実現方法
1 履行勧告

履行勧告は、家庭裁判所調査官から監護親に対して面会交流を実施するよう働きかける制度です。
もっとも、監護親が応じなければ面会交流は実現されないので、強制力はありません。

2 間接強制

間接強制とは、監護親が面会を実施しなかった場合、不実施1回あたり◯円を支払う義務を新たに課す手続になります。監護親に心理的強制を与えることにより面会交流を実現させることになります。
裁判所に対し間接強制を申し立てる場合、面会交流の日時、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められていることが必要です(最1小決平成25年3月28日・民集67巻3号864頁参照)。

3 間接強制の裁判例

まず、名古屋高裁令和2年3月18日決定を紹介します。
この事案は、未成年者の審判時における年齢は11歳10か月(小学6年生)で、本決定時は満15歳(高校進学直前の中学3年生)でした。また、未成年者は、非監護者との面会を強く拒んでいました。このように子の成長により調停又は審判時とで事情変更があった場合、なお間接強制が認められるかが問題となりました。

決定では「子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえた上でされているといえるから、監護親に対し非監護親と子との面会交流を実施させなければならないと命ずる審判がされた場合、子が非監護親との面会交流を拒絶する意思を示していることは、上記審判に基づく間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではない・・」と原則論を示しました。
その上で、「・・・面会交流を命ずる審判の後に年数が経過して、子の成長の段階が、上記審判が判断の基礎とし、想定した子の成長の段階と異なるに至ったために、監護親による面会交流に係る給付が、監護親の意思のみで履行することのできない債務となる場合があることは、面会交流を命ずる審判が予定するところであり、この場合において、子が非監護親との面会交流を拒絶する意思を示していることは、上記審判に基づく間接強制決定を妨げる理由となると解される。」としました。

次に、東京高裁令和元年11月21日決定(家庭の法と裁判37号74頁)を紹介します。
義務者である母は、面会交流調停に基づく面会交流として、長男については一度も、二男については短時間で終了した平成31年3月の面会交流を最後に、面会交流を実施していませんでした。そして、母は、子どもたちは面会交流前後に精神状態が不安定になると主張していました。
決定では「抗告人は、抗告人がその理由とする長男及び二男の拒絶意思及び二男の面会交流前後の精神状態の不安定については、抗告人が述べるのみであって、医師等の専門家による面接調査結果等これを裏付ける資料はない。」、面会交流の不実施が「未成年者らの強固な拒絶意思に基づくものと認めることはできない」とし、原決定と同じく、不履行1回につき5万円の間接強制金の支払いを命ずるのが相当と判断しました。

4 その他

以上の履行勧告、間接強制がオーソドックスな方法ではありますが、その他にも、非監護親しは、2度目の面会交流調停を申し立てることも考えられます。監護親が面会交流調停に出席しなければ審判に移行することになります。
また、非監護親が監護親に対し慰謝料請求をすることも考えられます。
さらに、親権又は監護権の指定・変更の審判を申し立てることも考えられれます。もっとも、一度決まった親権者や監護権者を変更することは極めてハードルが高いとされています。

 

4 最後に

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