1 はじめに
遺言執行者とは、遺言者の死後、遺言内容を実現する者をいいます。相続法改正により、遺言執行者の権限が明確化され、権限も強化されることになりました。
そこで以下では、その内容を簡単に説明していきます。
2 権限明確化
従前、特定財産承継遺言の場合、遺言執行者は、遺言書に「遺言執行者は預貯金の払戻しや預貯金契約の解約の申入れを行う権限を有する。」という趣旨の規定がない限り、預貯金の払戻し等をすることができませんでした。
そこで、改正法では、遺言執行者に預貯金の払戻し権限があることが明記されることになりました(民法第1014条第3項本文)。
3 権限強化
従前、特定財産承継遺言の場合、相続人は、対抗要件を具備せずとも権利移転を第三者に対抗することができました。しかし、改正法では、法定相続分の権利移転については従前どおり対抗要件を具備せずとも第三者に対抗することができますが、法定相続分を超える部分についての権利移転は対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができなくなりました(民法第899条の2第1項)。
そこで、遺言執行者は、対抗要件に必要な行為(例えば不動産の登記名義を遺言者から特定相続人に変更する行為)をする権限が新たに付与されることになりました(民法第1014条2項)。
4 最後に
以上、遺言執行者の権限について説明しました。遺言執行者の一般的なことについては、関連記事をご確認ください。
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