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コラム:人身事故と実況見分調書

2024.02.18
1 はじめに

交通事故により傷害を負ってしまった場合、医師に診断書を作成してもらって警察署に届け出れば人身事故として扱われます。

交通事故には物件事故と人身事故の2種類がありますが、交通事故により傷害を負った場合、その程度が軽微であったとしても、または相手方から懇願されたとしても、基本的には人身事故として届け出るべきといえます。以下、人身事故として届け出たほうがよい理由を説明していきます。

 

2 実況見分調書が作成されること

人身事故として届け出た場合、加害者は自動車過失運転致傷罪の被疑者として扱われることになります。そして、事故現場で、被害者、加害者(被疑者)が立ち会い、実況見分が行われることになります。

実況見分行われた場合、道路状況、事故状況などを記載した実況見分調書が作成されることになります。過失割合が争点となるケースで、双方車両にドライブレコーダーがない場合、実況見分調書が過失割合を決するための重要な証拠となります。

これに対し人身事故を物件事故として届け出た場合、過失により車両を損傷しても犯罪にならないので(器物損壊罪は故意犯)、警察は物件事故報告書を作成するにとどまります。物件事故報告書には簡単なメモ程度の事故状況図が記載されるにすぎないので、過失割合の判断に役立つことはあまりありません。

このように、人身事故が物件事故として処理されてしまった場合、物件事故報告書しか作成されない結果、過失割合で不利に扱われる可能性があります。そのため、できるかぎり人身事故として届け出て、実況見分調書を作成してもらうべきでしょう。

【関連記事】

✔実況見分調書に関する裁判例についての解説記事はこちら▶コラム:過失割合と実況見分調書

 

3 その他

人身事故であるにもかかわらず物件事故として届け出た場合、他にも次の2つのリスクが考えられます。

まず、相手保険会社から傷害の程度が軽微だと判断され、治療費の一括払いが早期に打ち切りとなる可能性があります。

また、自賠責への後遺障害申請の際、自賠責が軽微な事故であり、身体に対する衝撃の程度は大きくなかったとして、後遺障害を非該当と判断する可能性もあります。

このように、物件事故として扱われると様々な不利益が想定されるので、交通事故により怪我を負った場合は速やかに人身事故として届け出ることをお勧めします。

 

4 最後に

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