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遺言書とは?
ご自身の意思をご家族に伝えられます
自分の残した財産を残された相続人がどのように分割するのかが気になる方も多いでしょう。そんなときに有効なのが遺言書の存在です。
遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議にてどのように相続財産を分けるのかを話し合います。遺産分割協議は、滞りなくすんなりと話がまとまることもありますが、相続財産をめぐって相続人同士で衝突することもあります。相続人間でのトラブルを防ぐためにも、あらかじめ遺言書を作成しておき、準備しておくことが大切です。
当事務所では、終活の一環として遺言書の作成をおすすめし、作成のサポートやアドバイスを行っています。
遺言書作成のメリット
遺産分配に自分の意思を反映させられる
財産や相続人への思い入れは人それぞれです。遺留分に一定の制限を受けますが、遺言書を残しておくことで、ご自身の意思を反映させた遺産の分配が可能です。
遺産相続をめぐる紛争が予防できる
遺産の分配は遺言書に則って行われるため、相続財産をめぐる相続人同士の紛争を防げます。
相続権のない人にも財産が渡せます
相続人の範囲は民法で定められているため、法定相続人以外の人間は、被相続人と生前どれだけ親密であっても基本的に財産を相続できません。しかし、相続では遺言書の内容が優先されるので、被相続人の意思を反映させた遺言書があれば、事実婚や内縁関係の人も財産を相続できる可能性があります。
特定の人に多く財産を渡せます
遺産分割は基本的に相続人に公平になるよう分割されますが、長年にわたって献身的な介護をしてくれた相続人など、特定の相続人に多く財産を渡したいと希望しているのであれば、遺言書にその内容を記載することで、寄与分として多くの財産を渡せる可能性があります。
遺言書の種類と特徴
主な遺言書の種類は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。遺言書を残す被相続人のなかでは、自室証書遺言か公正証書遺言のどちらかを残されるケースが一般的です。遺言書の違いによって、どんな特徴があるのかを解説していきます。
自筆証書遺言
遺言者自身が自分の手で遺言書の全文を書いたものです。本人の署名と捺印も必要です。パソコンで作成したり、代筆を頼んだりすることはできません。
ただし、平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言の財産目録は、自筆以外の方法で作成されたものでも認められています。
メリット
- 自分で作成できるので、作成費用が必要ない
- いつでも思い立ったときに書ける
- 自分ひとりで作成できるので、遺言書の内容を他者に知られる心配がない
デメリット
- 不備なく作成することが難しい
- 偽造や紛失のリスクがある
- 開封前に家庭裁判所で検認してもらう必要がある(法務局で保管している場合は除く)
- 自筆が困難な遺言者には作成できない
公正証書遺言
遺言として残したい内容を口頭で公証人に伝えます。公証人は聞いた内容を公正証書遺言として正式に作成します。公正証書遺言では、作成する場に2名の証人が立ち会い、出来上がった遺言書には、その証人2名と遺言者本人の署名・捺印が必要です。内容の確認や形式など、公証人がしっかりとチェックするため、不備が原因で無効になることはほとんどありません。また、自筆証書遺言では必要だった家庭裁判所での検認も不要です。
メリット
- 不備のない確実な遺言書を作成できる
- 家庭裁判所で検認する必要がない
- 公証役場にて原本が保管されるので、偽造や紛失の発生時にも対応できる
- 自筆が困難な遺言者にも作成できる
デメリット
- 遺言書作成の際に作成費用(手数料)が発生する
- 遺言書の内容を秘密にしておきたい場合でも、証人2名には確実に内容が知られてしまう
遺言執行者とは
遺言の内容を実現してくれる人物
遺言書に記載されている内容を実現することを遺言の執行といい、遺言の執行を責任もって行ってくれる人物を遺言執行者といいます。
相続人が多い場合、全員が協力的に遺言の内容に則って手続きしてくれるとは限りませんし、相続財産のなかに不動産があった場合は登記申請や引き渡し手続きなど、面倒な手続きを行わなければなりません。そのほかにも、預貯金の払い戻しや各種手続きなどを実行するにあたって、責任者を一人決めておくことでスムーズに事が進む可能性が高いです。
遺言執行者として特定の人物を選任しておくことは、遺言の内容が確実に実行されることはもちろん、相続人同士でのトラブル回避、滞りない手続きの申請に役立ちます。
選任は遺言書の中でできる
遺言執行者にしたい人物がすでにいる場合は、遺言書でその人物を指定することが可能です。遺言執行者当人を指定することも可能ですが、「この人に遺言執行者を決めてほしい」と託す人物を指定できるので、自分の希望に合う選任ができるよう遺言書に記載しておきましょう。
なお、遺言書に遺言執行者に関することが書かれていない場合で、相続人が遺言執行者を選任してほしいと希望している状況であれば、家庭裁判所に請求し遺言執行者を選任してもらえるのでご安心ください。
相続権をなくしたいときなどには選任が必要
それぞれの立場やトラブルを想定して、選任しておくほうが望ましいですが、遺言執行者を絶対に選任しなければならない、という決まりはありません。ただし、遺言によって認知や推定相続人の廃除をする際には、遺言執行者の存在が必要不可欠です。推定相続人の廃除とは、被相続人が特定の推定相続人の相続権を取り上げ、相続させないようにする制度です。その背景には、推定相続人からの虐待や侮辱など、被相続人が受けた被害が廃除の理由とされています。
遺言執行者は誰でもなることができる
遺言執行者は、未成年や破産者など以外であれば誰でも選任可能です。したがって、相続人以外の第三者であっても良いですし、相続人のうちの一人でも構いません。遺言の内容が単純明快で、トラブルなくスムーズに遺言の実行が可能であれば、相続人を遺言執行者に選任しても問題なく遺産相続を行えるでしょう。
遺言執行を弁護士に依頼するメリット
手続きスムーズ、相続人間の対立・紛争を避ける
相続財産がたくさんあり、それぞれの分割方法が複雑であったり、相続方法が指定されていたりすると、遺言執行者の負担は重くなります。遺言の内容が複雑であればあるほど、手続きが多くなり、専門的な知識も必要とされてくるからです。
そんなとき、弁護士に遺言執行者を依頼しておけば、相続人に負担をかけずに遺産相続を行えます。専門的な知識と経験をもった弁護士であれば、あらゆるケースの相続財産に対応でき、手続きもスムーズです。
相続人の中から遺言執行者を選任した場合、ほかの相続人から「手続きに不備はないのか」「公平にしてくれているのか」「財産の使い込みや隠ぺいはないのか」など不安や不満が寄せられる可能性があります。遺言執行者は忙しい毎日のなかで、気を張る役割を頑張っているのにも関わらず、ほかの相続人から苦言を呈されてはストレスも大きくなるでしょう。
それに対し、弁護士であれば、スムーズで不備のない手続きが可能なので、相続人全員が安心して任せられるでしょう。
信託銀行よりも費用が安いことが多い
弁護士以外にも、信託銀行に遺言執行者を依頼することも可能です。信託銀行はお金のプロなので、安心感を抱き、遺言執行を依頼するケースも多いです。ただし、信託銀行では、基本的に最低報酬額が定められているので、弁護士に依頼する場合よりも費用がかかる可能性があります。
弁護士と信託銀行ではサービス内容が異なるので、遺言執行の依頼を検討しているのであれば、相続財産の金額や内容などを考慮して、どちらに依頼するのかを慎重に検討することをおすすめします。どちらが良いのか判断がつかない場合は、費用面や内容を含めてご説明しますので、一度ご相談ください。