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コラム:一部分割

2024.02.22
1 はじめに

改正前の民法では、一部分割に関する定めはありませんでした。もっとも、裁判例では、一定の要件の下で、遺産の一部分割が認められていました。そこで、改正民法では、一部分割の規定(民法907条)が定められることになりました。

具体的には、民法907条1項では「共同相続人は、・・・いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」と定められ、遺産の一部分割が一定の要件のもと認められることが明記されました。

以下、遺産の一部分割について概要を説明していきます。

 

2 遺産の全体を明らかにすること

申立人が家庭裁判所に対し遺産の一部分割の申立てを行うためには、遺産全体について調査した上で、分割を求める一部の遺産を特定する必要があります。

 

3 他の当事者による新たな申立て

民法907条2項本文は「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。」と定めています。

したがって、分割の申立てをした相続人以外の共同相続人が遺産の全部分割又は当初申し立てられたのとは異なる範囲の一部分割を求めることができます。これにより、分割する遺産の範囲は拡張されることになります。

 

4 一部分割の要件

民法907条2項但書は、「遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。」と定めています。

このように、裁判所は、当事者全員が一部分割を求めていた場合でも、「他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合」に該当すると判断し、一部分割を許容しない場合もあります。

「他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合」に該当するかは、共同相続人の一部の者への贈与の有無やその金額等の状況、一部分割に伴い代償金を支払うことによる解決の可能性とその支払いのための資力などの諸事情を総合考慮して判断することになります。

 

5 最後に

遺産分割について一般的なことは関連記事をご参照ください。

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