1 はじめに
業務遂行中や通勤途中に交通事故に遭った場合、被害者は労災保険を使うことができます。
以下では、労災保険を使った場合における治療費と休業損害について説明していきます。
2 治療費
自賠責の場合、傷害部分は支払額の上限が120万円となります。また、交通事故の場合も健康保険を使うことができますが、被害者は治療費の3割を負担しなければなりません。これに対し、労災保険を使う場合、被害者負担は一切ありません。
3 休業損害
被害者は労災保険より休業補償給付を受けることができます。給付額は3ヶ月間の平均賃金の60%に相当する金額になります。また、被害者は、休業補償給付だけでなく、特別支給金を受け取ることができます。金額は、平均賃金の20%に相当する額となります。
また、特別支給金は労災保険の社会復帰促進等事業に基づき支給されるもので、業務災害や通勤災害に関する保険給付の実質的な上乗せ給付としての性質を有するとされています。したがって、特別支給金は損益相殺の対象とはなりません。