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コラム:交通事故とむち打ち損傷

2024.02.29
1 むち打ち損傷とは

むち打ち損傷とは、頸部脊柱の軟部支持組織の損傷をいいます。追突事故の際、被害者の頸椎全体が鞭のしなりのように揺さぶられる等して、頸椎が過伸展と過屈曲を強制されることにより、頭頚部症状が引き起こされることになります。

一般的に、むち打ち損傷による症状は、受傷直後に最も強く、組織損傷の修復に伴って経時的に改善すると言われています。

 

2 症状固定時期

加害者側の保険会社は事故から3~6か月程度経過すれば、症状固定していることを理由に、一括対応の打ち切りを打診してくることがあります。

たしかに、むち打ち損傷の症状固定時期は事故から半年程度とされています。しかし、症状固定時期は、事故の態様、治療経過、年齢など様々な要素を考慮して判断するものです。したがって、被害者それぞれによって症状固定時期は異なることになります。

 

3 一括対応終了後の治療継続

一括対応制度は、加害者の保険会社が任意で行っているものです。したがって、一括対応を打ち切られた場合、被害者側が、加害者側の保険会社に対し、一括対応を継続するよう強制することはできません。あくまでお願いベースの話になります。担当者によりけりですが、1か月程度であれば延長を認める場合もあります。

一括対応の延長が認められなかった場合、被害者側は、主治医とも相談の上、ご自身の健康保険を利用して治療を続けることになります。この一括対応終了後に負担した治療費については、保険会社によっては一切認めないので、そのようなリスクも踏まえて治療を継続することになります。

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✔健康保険を利用した治療についての解説記事はこちら▶コラム:交通事故と健康保険

 

4 後遺障害
1 症状固定後

むち打ち損傷について、症状固定に至り、それでも痛み等が続く場合、後遺障害の認定手続を検討することになります。

 

2 後遺障害等級

むち打ち損傷の場合、後遺障害等級は、12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のいずれかになります。他覚的所見がある場合は12級13号となります。

 

3 14級9号の認定について

実務上は、14級9号に該当するか否かが争われることが多いと思われます。例えば、他覚所見がない神経症状が残った場合、非該当か14級9号の場合のいずれかになります。

14級9号の場合、例えば後遺障害慰謝料は赤本基準で110万円となります。これに対し、非該当の場合は、0円となります。このように非該当か14級9号かで賠償額が大きく変わります。そのため、被害者側としては、事前認定ではなく、被害者請求をするのがよいと思われます。

交通事故による身体への衝撃の程度が大きかったことを推認させる証拠として、例えば、加害者と被害者の事故直後の車両画像、修理費用の明細、実況見分調書を取得し、これらを自賠責保険に提出することができます。

また、被害者側が症状固定後も自費で治療を継続していた場合、痛みが症状固定後も残存していることが推認できます。そこで、被害者は、症状固定後の治療費の領収書を取得し、自賠責保険に提出することがもできます。

さらに、14級9号となるためには通院が継続的に行われることが必要となりますが、例えば1か月間通院をしていなかった場合、症状が回復し通院する必要がなくなったと被害者側に悪い方向で解釈される可能性があります。そこで、被害者は、例えばやむを得ない事由により通院できなかったのであれば、その理由を説明するための資料を準備し、自賠責保険に提出することもできます。

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✔被害者請求について詳しい解説記事はこちら▶コラム:自賠責による後遺障害認定制度

 

5 最後に

弁護士費用特約に入っている場合、ご自身の保険会社が弁護士費用を負担することになるため、弁護士費用を心配することなく弁護士に交渉等を依頼することができます(関連記事をご参照ください)。のむら総合法律事務所にお気軽にご相談ください。

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