1 はじめに
破産管財事件として申立てをする場合、管財予納金や弁護士費用を確保しなければなりません。これらの費用を捻出するために手持ち不動産を売却して、残りが出た場合、現金として99万円の範囲内で自由財産として認められるかが問題となります。
2 財産の直前現金化
破産手続開始申立前に手持ち財産を現金化し、破産手続開始決定時には現金となっている場合、悪質な濫用的直前現金化でない限り、現金として扱い、総額99万円基準以内であれば、特段問題視する必要はないと考えるべきであるとされています(『破産管財実践マニュアル[第2版]』300頁)。
3 不動産の直前現金化
以上からすれば、破産者が破産申立てに不動産を売却した場合、悪質な濫用的直前現金化でない限り、不動産売却代金は現金として扱われ、総額99万円の範囲内で自由財産として認められるとなりそうです。
もっとも、上記のとおり認めた場合、不動産を売却せずに管財人に引き継いだ破産者と、申立直前に売却した破産者との関係で公平性を欠くのではないかという問題があります。また、一般に不動産は破産者の経済的更生に必要かつ相当とまでは言えないと解されているので、不動産売却代金も同様に考えて自由財産として認めるべきではないともいえそうです。
したがって、破産者の立場からすれば、申立前の不動産売却代金は基本的には破産管財人に全額引き継がなければいけないことになります。
