1 はじめに
もともと自営業をしており、国民年金を受給していた方が亡くなり、残された多額の借金の支払いを免れるため、その配偶者や子が相続放棄をした場合、未支給年金を受けとることはできるのでしょうか。
2 国民年金と未支給年金
亡くなった国民年金受給者に未支給の国民年金がある場合、その受給者の死亡の当時その者と生計同一の配偶者、子、父母などは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができるとされています(国民年金法19条1項)。
3 相続放棄後の未支給年金請求
配偶者や子は、「相続とは別の立場から」、未支給年金を請求することができます。すなわち、未支給年金受給権は、相続財産(遺産)には含まれないので、たとえ相続人が相続放棄したとしても、配偶者や子の立場で請求することができます。
4 最高裁判例
最判平成7年11月7日も次のとおり判断しています。
「国民年金法一九条一項は、「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。」と定め、同条五項は、「未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。」と定めている。右の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものでないことは明らかである。」
5 最後に
このように、未支給年金受給権は相続とは関係ない以上、たとえ相続放棄したとしても請求することができますし、請求したからといって、既に行った相続放棄が認められなくなるとはなりません。
