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コラム:実在しない個人債権者と個人再生

2026.01.12
1 はじめに

最決平成29年12月19日(民集71-10-2632、判時2368-18、判タ1447-36)を紹介します。

2 事案

申立人は、債権者一覧表に再生債権として①損害賠償請求権約1350万円、➁貸金債権約2000万円(弟が貸主)、③その他の債権約450万円、合計3800万円を記載して小規模個人再生申立て(住宅資金特別条項あり)をしました。

①~③は再生債権として届けられたものとみなされました(法225条)。そして、①~③について一般異議申述期間内に異議はなされませんでした。そのため①~③は無異議債権として確定しました(230条8項)。

①の債権者は再生計画案に対して不同意の意見を出しました。しかし、➁③の債権者は不同意意見を出さなかったため、最終的に再生計画案は認可されることになりました。

そこで、①の債権者は、➁の債権は実体がないので、再生計画案の可決は信義則に反するため、民事再生法202条2項4号所定の不認可事由である「決議が不正な方法で成立するに至った場合」に該当すると主張しました。

これに対して、申立人側は、➁は無異議債権であるから、本件再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合に当たるか否かの判断に当たっては、➁が存在することを前提に判断されなければならないと主張しました。

3 裁判所の判断

「・・・規模個人再生において、再生債権の届出がされ(法225条により届出がされたものとみなされる場合を含む。)、一般異議申述期間又は特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかったとしても、住宅資金特別条項を定めた再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合に当たるか否かの判断に当たっては、当該再生債権の存否を含め、当該再生債権の届出等に係る諸般の事情を考慮することができると解するのが相当である。」

「・・・本件貸付債権が実際には存在しないことをうかがわせる事情がある。そして、本件貸付債権については一般異議申述期間内に異議が述べられなかったため、Aは議決権の総額の2分の1を超える議決権を行使することができることとなり、本件再生計画案が可決されるに至っている。」「以上の事情によれば、本件においては、抗告人が、実際には存在しない本件貸付債権を意図的に債権者一覧表に記載するなどして本件再生計画案を可決に至らしめた疑いがあるというべきであって、抗告人が再生債務者として債権者に対し公平かつ誠実に再生手続を追行する義務を負う立場にあることに照らすと(法38条2項参照),本件再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた疑いが存するといえる。」

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