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コラム:破産手続開始前の交通事故

2025.12.28
1 はじめに

破産者が、破産手続開始決定前に交通事故に遭い破産手続開始決定後、加害者の保険会社から受領した(受領予定の)損害賠償金について、自由財産拡張の申立てをしたとして認められるかが問題となります。

例えば、3月1日、破産者(有職者)は、バイクを運転中、交通事故に遭い、4月15日まで通院していたところ、5月23日に破産手続が開始されたとします。損害項目としては、治療費、交通費、休業損害、通院慰謝料が発生するとします。そして、治療費、交通費は既払いであり、破産手続開始決定後、休業損害、通院慰謝料が支払われるとします。

2 原則

上記不法行為による損害賠償請求権は、破産手続開始前の原因に基づいて発生しているので、破産財団に該当することになります。この原則を貫けば、休業損害や慰謝料についても、破産財団に該当することになり、自由財産拡張は認められないことになります。

3 例外

交通事故に遭った破産者の被害回復の観点、破産者の経済的更生を図る(破産法1条)という観点から、損害項目に応じて、次のような例外的な取り扱いが認められるとされています。

まず、休業損害については、「破産財団への帰属をとくに問題とされない給与の代替的性格を有している」ことからすれば、自由財産拡張が認められるべきとされています。

また、通院慰謝料については、「破産債権者が、交通事故に起因する破産者の慰謝料まで債権の引当てとして期待していたとは通常考えられない」ことからして、自由財産拡張が認められるべきとされています。

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