1 債権届出に対する異議申述
再生債務者は、申立時に提出する債権者一覧上に異議を述べることがある旨を記載した場合(221条4項)、一般異議申述期間内(222条1項)に、裁判所に対し、届出があった再生債権の額について、書面で、異議を述べることができるとされています(226条1項)。
異議書には、①異議を述べる事項、②異議の理由を記載することになっています。再生債務者が異議を述べる場合、法律上、②は必須ではないとされていますが、実務上、記載することが多いと思われます。なお、裁判所には、正本と副本を提出することになります。
2 再生債権の評価
再生債務者が異議を述べた場合、当該再生債権を有する再生債権者(執行力ある債務名義又は終局判決を有しない)は、裁判所に対し、異議申述期間の末日から3週間以内に、再生債権の評価の申立てをすることができます(227条1項)。
再生債権者は、裁判所へ予納金を納める必要があり、予納しない場合、裁判所は、再生債権の評価の申立てを却下することになります(227条3項、4項)。大阪地裁では原則として5万円とされており、これは専ら個人再生委員の報酬に充てられることになります。
このように再生債権者が適法な再生債権の評価の申立てを行った場合、裁判所は、個人再生委員の選任をすることになります(223条1項但書)。大阪地裁では原則として開始決定時に個人再生委員を選任しない運用としているため、再生債権の評価の申立てがあった時点で個人再生委員を選任しています。
選任された個人再生委員は、「裁判所に対して調査の結果の報告をすべき期間」(227条5項)内に再生債権の存否や額についての調査を行うことになります。この期間は事案によりけりと思われますが、過去の事例では2ヶ月でした。
また、個人再生委員は、上記の調査の一環として、再生債務者又は再生債権者に対し、再生債権の存否などに関する資料の提出を求めることもできます(227条6項)。
このような調査を経て、個人再生委員は、期間内に、裁判所に対し意見書を提出することになります(227条8項参照)。実務上、この意見書には、結論だけ記載すれば足りるとされており、理由を記載するとしても簡潔なもので足りるとされています。
裁判所は、個人再生委員の意見書を聴いて(227条8項)、再生債権の評価の申立てに係る再生債権について、その債権の存否などを定めることになります(227条7項)。この場合、裁判所は、民事訴訟法の敗訴者負担の原則に基づき、手続費用の負担の裁判をすることが通常です。なお、当事者は、裁判所の決定に対して即時抗告をすることができないとされています。
3 再生計画案の修正
再生債務者は、開始決定時に定められた提出期限内に再生計画案を提出しなければなりません。そして、再生債権の評価の決定の結果、提出した再生計画案を修正する必要がある場合、裁判所の許可を得て、再生計画案を修正することになります(167条)。
