1 はじめに
例えば、破産者の債権者が、破産者に対して令和5年11月20日付けで債権執行を申し立てて、12月2日付け債権差押命令に基づき、令和6年1月25日以降、第三債務者である勤務先から給料の取立てを行っているとします。
このようなケースにおいて破産者は給料差押えを免れるためどうすればよいかなどについて説明していきます。
2 執行終了
破産管財人は、破産手続開始決定後、執行裁判所に対し、執行終了の上申書を提出することになります。これにより給料差押えは止まることになります。
したがって、破産者側としては、速やかに破産手続申立てを行い、破産手続開始決定を早期に出してもらうことが必要になってきます。
3 受任通知到着後の取立分
破産者が当該債権者に対して受任通知を発送して債権者のもとに到着した場合、債権者は到着した時点から支払停止について悪意になります。そのため、債権者が受任通知受領後に取り立てた分については、いわゆる偏頗行為否認の対象になります(破産法162条1項1号イ、同162条3項、同165条)。
また、仮に破産管財人が否認権を行使して債権者から取立分の返還を受けたとします。この取立分は自由財産として扱われない(つまり破産者に戻ってこない)ことが多いとされています。
