1 はじめに
破産手続中、破産者が他府県に1週間ほど出張する場合、裁判所の許可を得ることが必要になるでしょうか。
2 破産法の規定
破産法37条が破産者に対して居住等の制限義務を課している趣旨は、破産者は破産手続に対する協力を負う関係上、常に裁判所や破産管財人と連絡が取れる状態を確保することにあります(条解破産法1732頁)。
そして、「その居住地を離れる」(破産法第37条1項)とは、居住地に帰る意思のある出張については2泊以上の宿泊を含む出張のことを意味すると解釈されています(条解破産法331頁)。
したがって、破産者が裁判所の許可なしに他府県に1週間出張に行ったことは、免責不許可事由である「その他この法律に定める義務に違反したこと」(破産法第252条1項11号)に該当することになります。
もっとも、破産法第252条1項11号の免責不許可事由の程度を判断する際は、主に義務違反の内容、程度及び義務違反が破産手続に与えた影響などを考慮することになりますので、裁量免責が認められる余地があります。
