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コラム:嫡出子でない子の相続分

2024.10.23
1 はじめに

嫡出でない子の相続分について説明していきます。

 

2 改正前

民法900条4号ただし書では、嫡出でない子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1と定められていました(以下、「改正前の規定」という。)。

 

3 改正後の運用

改正前の規定は、平成25年9月4日の最高裁判所の違憲決定(以下、「大法廷決定」という。)を踏まえて、削除されることになりました。そのため、平成25年9月5日以後に開始した相続については、嫡出でない子と嫡出子の相続分は同等となりました。

ところで、大法廷決定では、平成13年7月の時点で、改正前の規定は違憲と判断しています。そのため、平成13年7月1日から平成25年9月4日までの間に開始した相続については、大法廷決定の拘束力に基づき、嫡出でない子と嫡出子の相続分は同等と取り扱われることになります。

以上をまとめると次のとおりになります。
【平成13年7月1日~同25年9月4日の間に発生した相続】
→大法廷決定の拘束力に基づき、嫡出でない子と嫡出子の相続分は同等と取り扱われる。
【平成25年9月5日以後に開始した相続】
→改正法に基づき、嫡出でない子と嫡出子の相続分は同等と取り扱われる。

 

4 平成12年10月から同13年6月までに発生した相続

最決平成16年10月14日は、相続開始時が平成12年9月の事案において、同月までに開始した相続について、改正前の規定は合憲と判断しました。そこで、平成12年10月から平成13年6月までの間に発生した相続についてどのように判断するべきかについて、判断が待たれることになりました。以下では、この点が問題となった下級審判例を紹介します。

 

5 那覇家裁令和5年2月28日

この事案は、被相続人は配偶者との間に嫡出子5人をもうけ、さらに3人の女性との間で計8人の婚外子をもうけて認知したという事案で、嫡出子側が非嫡出子側を相手方として遺産分割調停を申し立てました。

被相続人が亡くなったのは平成13年2月であり、取り扱いが明らかとなっていない平成12年10月から平成13年6月までの間に発生した相続でした。そこで、平成13年2月の時点で改正前の規定が憲法14条1項に反するが問題となりました。

那覇家裁は、以下のとおり、平成13年2月の時点で改正前の規定は憲法14条1項に反すると判断しました。

我が国の婚姻や家族の実態、諸外国の立法傾向や条約の存在に係る状況及び立法動向や最高裁判所判例に関する評価を踏まえて検討するに、平成13年2月当時においても、法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていたものということができ、当時の立法府の裁量を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきであり、本件相続開始時点においても、前記部分に係る民法の規定は、憲法14条1項に違反していたものというべきである(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)。そうすると、本件では、いずれも被相続人の子である申立人ら及び相手方らの法定相続分は等しい割合とすべきである。

 

6 最後に

遺産分割について一般的なことは関連記事をご参照ください。

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