1 事案の概要
会社員の方が余暇に貯金を増やすためFXをしたことにより借金が膨らみ返済ができなくなったので自己破産のご相談に来られた事例です。
2 相談の経緯
相談者は、会社員として長年勤めていたところ、休みにFXをするようになりました。投じた額は徐々に増えていったため、銀行ローンなどを利用して借金をして、借入金をFXに投じるということを繰り返していました。借金額が約400万円となり、毎月の返済額が15万円程度となり、収入の範囲内では支払うことが出来なくなったため、自己破産のご相談に来られました。
3 弁護士の活動
FXをしていた期間は比較的短かったものの、FXに使った金額は数百万円にのぼっており、借金の大半を占めていたため、いわゆる免責調査型の破産管財事件として処理される見込みが高い事案でした。このような管財事件の場合は、予納金として20万5000円を破産申立時に納めなければいけないので、受任通知後、少しずつ貯めていってもらいました。
破産手続が開始された後は、破産管財人から指示があった家計収支表の作成の補助をしたり、反省文の添削をするなど、裁量免責決定を得るための活動をしていきました。
4 結果
第1回債権者集会にて破産手続は異時廃止となり、免責手続においては裁量免責決定を得ることができました。これにより、FXで膨らんだ借金は全額免責されることになり、相談者は再スタートを切ることができました。
5 弁護士のコメント
FXで借金が膨らんだ場合は浪費に当たるので、原則として借金が免責されることはありません。もっとも、破産手続開始決定後、破産管財人の指示に従い家計収支表などを作成したり、破産管財人による調査に誠実に協力することにより、裁量免責を得ることができます。このように浪費の場合でも免責決定を得ることができる場合がありますので、まずはご相談にお越しいただければと思います。