1 事案の概要
30代のサラリーマンのご相談者がマイホームを残すために住宅資金特別条項付きの小規模人再生申立てを行った事例になります。
2 相談の経緯
相談者は、5年程前に30年の住宅ローンを組んで念願のマイホームを購入しましたが、転職を機に給料が相当額減少し、これにより住宅ローンの返済が難しくなり、その穴埋めとして銀行ローンやサラ金を利用していました。次第に借金の額が膨らみ、毎月の返済額が大きくなり、返済をするために新たに借り入れるという自転車操業状態になっていました。そこで、相談者は、自宅を残しつつ既存の借金を整理するためにご相談に来られました。
3 弁護士の活動
弁護士は相談者から毎月の収入と支出、今後のライフイベントなど細かく聴き取った結果、相談者の希望どおり住宅資金特別条項付きの小規模個人再生の申立てを行うことが可能であると考えました。
そして、弁護士は各債権者に受任通知を発送して返済を一斉に停止するとともに、住宅ローン先の銀行に連絡し、これまでの返済条件どおり支払いを継続していくので個人再生に協力して欲しいと相談したところ、銀行側も協力していただけることになりました。
認可決定までの間、毎月、家計収支表を提出し、返済予定額を積み立てていかなければいけませんが、弁護士は、家計収支表の作成をサポートするなどして、期限内に裁判所に提出することにしました。
4 結果
相談者の住宅ローン以外の負債は約700万円でしたが、その5分の1の約140万円を返済すればよくなりました。合計560万円ほど減額できたことにより、毎月の返済額は3万円ほどとなり、住宅ローンを含めると月額約10万円となりましたので、なんとか毎月の給料で返済することが可能となり、かつ自宅を残すことができました。
5 弁護士のコメント
住宅資金特別条項付きの小規模個人再生申立ては、自宅を残しつつ、住宅ローン以外の負債を基本的には5分の1程度に圧縮することができるので、経済的再生にとって有益な制度になります。他方で、認可決定までの間、精微な家計収支表の提出を求められる、返済予定額の積立てを求められるといった大変な作業が必要となります。弁護士だけでは認可決定まで辿りつくことはできないので、まさに相談者と二人三脚で進めていく必要があります。