1 はじめに
管理不全土地・建物管理制度について説明していきます。
2 管理不全土地管理制度
1 要件
裁判所が管理不全土地管理命令をすることができる要件は次のとおりです(民法264条の9第1項)。
①「利害関係人の請求」であること
②「所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合」であること
③「必要があると認めるとき」
2 効果
「管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産・・に及ぶ。」(同2項)
3 管理不全土地管理人の権限
「管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。」(民法264条の10第1項)
管理不全土地管理人は、家庭裁判所の許可なしに、保存行為、管理不全土地等の性質を変えない範囲内においてその利用又は改良を目的とする行為を行うことができます。これらを超える行為を行う場合は家庭裁判所の許可が必要となります(同2項)。
なお、管理不全土地管理人が「管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分」を行う場合、家庭裁判所は所有者の同意がなければ許可をすることができません(同3項)。
4 管理不全土地管理人の義務
「管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。」(民法264条の11第1項)
3 管理不全建物管理制度
前提として、管理不全土地管理命令は、土地上の建物はその対象とされていません。
管理不全建物管理命令の発令要件は、管理不全土地管理命令と同じです(民法264条の14第1項)。
管理不全土地管理命令の効力は、当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(例えば土地賃借権)にも及びます(第2項)。