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コラム:所在等不明共有者の不動産持分の取得・譲渡

2024.05.08
1 はじめに

所在等不明共有者の不動産持分の取得・譲渡について説明していきます。

 

2 持分の取得
1 趣旨

不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない場合、共有物の使用や管理を妨げられることになります。この場合、現行法の下では、共有者は、所在等不明共有者との共有関係を解消するためには、共有物分割の訴えを、共有者全員に対して行わなければいけませんでした。そこで、新法では、共有者は、裁判所の関与の下、供託金を納めて、所在等不明共有者の持分を取得することができるようになりました(民法262条の2)。

 

2 要件

まず「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」であることが必要です(第1項)。

また、共有物の分割の訴え又は遺産分割の調停(審判)が先行しており、かつ、「所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたとき」は、持分の取得の裁判はなされません(第2項)。

さらに、所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合は「相続開始の時から十年を経過」することが必要となります(第3項)。

 

3 効果

共有者は、所在等不明共有者の持分を承継取得することになります。

所在等不明共有者は、共有者に対し「当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求」することができます(第4項)。

 

3 持分の譲渡
1 趣旨

不動産が数人の共有に属しているがその中に所在等不明共有者がいる場合、共有者の一人が所在等不明共有者の持分を取得した上で(民法262条の2)、共有物全体を第三者に売却することは可能です。もっとも、共有者の間で共有物全体を第三者に売却することが具体的に決まっていた場合は、持分の取得手続をとることは迂遠となります。そこで、新法では、共有者は、裁判所の関与の下、供託金を納めさせた上で、所在等不明共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができるとされました(民法262条の3)。

 

2 要件

まず「共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」であることが必要です(第1項)。

また、所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合は「相続開始の時から十年を経過」することが必要となります(第2項)。

なお、持分の取得で設けられていた異議の届出制度(民法262条の2第2項)はありません。

 

3 効果

共有者は、持分の譲渡の裁判後、実際に譲渡行為を行う必要があります。

所在等不明共有者は、共有者に対し、「不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求」することができます(第3項)。なお、持分の譲渡では「当該共有者が取得した持分の時価相当額」とされていましたが、ここでは異なりますので注意が必要です。

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