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コラム:裁判による共有物分割

2024.05.07
1 はじめに

裁判による共有物分割について説明していきます。

 

2 賠償分割について

現行民法では、共有物分割の方法として、現物分割と競売分割の2種類があり、現物分割が基本とされていました(民法258条2項)。そして、判例では、全部価格賠償による分割も認められていました。

これに対し、新法では、共有物分割の優先順位として、現物分割か賠償分割を基本とし、いずれも困難な場合は競売分割となるとされました。

すなわち、裁判所は、原則として、「共有物の現物を分割する方法」(現物分割)又は「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法」(賠償分割)のいずれかの分割方法を命ずることになります(民法258条2項)。

例外として、裁判所は、現物分割や賠償分割をすることができない場合、又は「分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるとき」は、競売分割を命じることになります(同条3項)。

 

3 遺産共有について

新法では、遺産共有の場合の解消方法として共有物分割は認められないこと(遺産分割調停(審判)によるべきであること)が明記されることになりました。すなわち、「共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。」とされました(民法258条の2第1項)。

例外として、相続開始の時から10年が経過したときは共有物分割の裁判をすることができるとされました。すなわち、「共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。」(第2項)とされました。

もっとも、遺産分割の機会確保の要請より、「・・・当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。」とされました(第2項但書)。

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