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コラム:仮差押えの担保額決定過程

2024.08.29
1 担保額決定の基準

保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施条件として、または担保を立てさせないで発することができます(民保法14条1項)。 担保額は裁判所の裁量により定められます(民保法14条1項)。 担保は、債権者の損害を担保する物であることから、担保の額は、保全命令の趣旨、目的物の種類と価値などを考慮し、そのうえで、被保全権利の性質や債権者の職業、財産、信用状態等の検討し、さらには、疎明資料の信用状態などを斟酌して、発生することのあるべき損害の範囲及びその蓋然性の程度を検討して決定します。

2 基準となるのは請求債権額か目的物の価額か

仮差押えの場合、債務者は仮差押解放金を供託すれば解放されるので、経済的には解放金である請求債権額に相当する部分の拘束を受けるのみであるから、請求債権額を基準として担保の額を決めるべきという立場があります(請求債権額基準説)。 しかし、東京地方裁判所では担保額の決定において目的物の価額を基準とする運用をしています(目的物価額基準説)。これは、債務者は解放金を積む義務がないこと、また、債務者は保全命令により不動産を処分することが事実上できなくなるため、仮差押の目的物全体の価値が拘束を受けているというべきだからです。

3 担保の金額

担保の金額の目安は次のとおりです(民事保全・非訟マニュアルP.53)。

①手形小切手 10%

②貸金・売掛代金・請負代金・賃料 10%~20%

③交通事故の損害賠償請求権 5%~20%  ・・・

4 最後に

相手の資力に心配があるとき、保全手続を行うことで、財産の流出を防ぐことができます。しかしながら、その手続は容易ではありませんので、専門家に依頼することをお勧めします。

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