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コラム:不貞慰謝料の考慮要素と金額の相場

2024.08.01

配偶者が不貞行為をした場合、裁判所が認容する慰謝料はどの程度になるのでしょうか。

1 不貞による慰謝料とは何か

慰謝料支払義務の法的根拠は、「平穏な夫婦関係」という法律上保護される利益(民法709条参照)の侵害に求められます。判例は、配偶者の一方による不貞行為の慰謝料請求権の根拠について、「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持つた第三者は、故意又は過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によつて生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被つた精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。」と言及しています(最高裁昭和54年3月30日判決)。

2 考慮要素について

慰謝料額を決定する要素は多岐にわたります。
①当事者は誰か
請求の相手が不貞相手であるか、配偶者であるか、双方かにより、考慮すべき要素が異なります。
②当事者のおかれた状況
不貞相手に婚姻関係の認識があるか。
不貞行為を主導したのは不貞相手か配偶者か。
不貞相手が妊娠や出産をしていないか。
配偶者及び不貞相手は謝罪をしたか。
③不貞による被害がどの程度か
慰謝料支払義務の法的根拠は、「平穏な夫婦関係」という法律上保護される利益(民法709条参照)の侵害に求められます。
したがって、現実に離婚・別居に至ったかどうかにより、慰謝料の金額が大きく変動し得ます。
④不貞までの家族関係
婚姻期間が長い場合、子供が未成熟の場合、侵害される法益が大きいため、慰謝料は増額傾向にあります。
他方、他方、夫婦間で既に破綻事由が存在する場合、その後に不貞が発覚したとしても、法益の侵害が存在しないため、慰謝料が認められにくい傾向にあります。
⑤不貞の態様
不貞期間の長さ、頻度等

3 慰謝料の相場
慰謝料単体の認容額は50万円~200万円がボリュームゾーンです。ネットで検索すると「不貞慰謝料の相場は200万円~300万円」と説明されていることが多いですが、実際は数十万円しか認容されない事案も散見されます。慰謝料のみで300万円~400万円程度認容されている事案は、比較的高額な事例です。なお、過去の裁判例では1,000万円の慰謝料が認められた事案はありますが(岡山地裁倉敷支部平成15年2月18日判決)、特殊な事案で、不貞以外の事情(激しい暴力=「電気ストーブで体をめった打ちにし,そのコードで頸を絞めるなどの暴行を加えた」等)も考慮されており、一般化できない事案です。

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