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コラム:相隣関係の見直し~隣地使用権

2024.08.04
1 はじめに

改正前の民法209条は「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。 ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。」としていました(1項)。

以下では、民法209条の改正内容について説明していきます。

 

2 目的の拡充

改正前は隣地使用の目的について「障壁又は建物を築造し又は修繕するため」とし、築造又は修繕の対象を障壁と建物に限定していました。これに対し改正法では障壁と建物に限らず「その他の工作物」も含まれることになりました(209条1項1号)。

また、改正前は障壁等の「築造」や「修繕」に限られていましたが、「収去」も含まれることになりました(209条1項1号)。

さらに、隣地使用の目的について明文化されていたのは、境界での障壁等の築造等についてのみでした。これに対し改正法では、隣地使用の必要性がある「境界標の調査又は境界に関する測量」(2号)、「第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り」(3号)も加えることにしました。

 

3 使用態様

改正前は隣地使用の際の使用態様についてルールはありませんでした。もっとも、隣地使用により隣地所有者等の権利が制限されることになるので、その制限は必要最小限に抑えなければいけません。

そこで、改正法では、隣地使用者は、隣地の使用の日時、場所及び方法は、隣地所有者等のために損害が最も少ないものを選ばなければならないものとされました(民法209条2項)。

また、改正法では民法209条2項の規定を受けて、隣地所有者等が隣地使用権の行使に対する準備機会を確保するため、隣地使用者は「あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知」する義務が課されることになりました(民法209条3項本文)。

そして、「あらかじめ通知することが困難なとき」は、一定の目的のため一時的に隣地が使用されるにすぎないことから事前通知義務を解除することにし、他方でその場合でも隣地所有者等に一定の影響があることは確かなので、隣地使用者に「使用を開始した後、遅滞なく、通知」することにしました(209条3項但書)。

 

4 償金

改正法では「第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。」とされています(民法209条4項)。これは改正前と変わりません。

 

5 最後に

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