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コラム:水道料金の破産手続における取扱い

2024.07.09
1 はじめに

水道料金を滞納している場合、自己破産において、当該水道料金債権はどのように取り扱われ、また、免責されるのでしょうか。

非免責債権については、破産法253条1項各号に列挙されています。水道料金は地方自治体が徴収していることから、水道料金が「租税等の請求権」(破産法253条1項1号)にあたると考えられます。「租税等の請求権」とは「国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」(破産法97条4項)であるため、水道料金が「国税徴収の例によって徴収できるかどうか」が問題となります。

2 下水道

地方自治法で定められた「使用料」(地方自治法225条)については、「地方税の滞納処分の例により処分することができる」(地方自治法231条の3第3項)ので「租税等」にあたります。「使用料」は地方自治法の附則に列挙されているところ「下水道」の使用料についてのみ、その対象となっています(地方自治法附則6条3号、下水道法20条)。そのため、下水道料金は破産法上の「租税等」にあたります。したがって、原則として非免責債権です(破産法253条1項1号)。このうち、破産手続開始時に納期限から1年を経過していないものについては、財団債権で(破産法148条1項3号)、それ以外は優先的破産債権ですが、租税等の請求権であるため、債権調査の必要はありません。破産手続開始後の下水道料金については非破産債権に過ぎないと解され(破産法97条4号)、債権者から破産者に直接請求させることが一般的です。

3 上水道

一方上水道はこのような法律上の根拠がないため、「租税等」として扱うことができません。滞納している上水道の料金は、原則として一般の破産債権であり、免責されます。もっとも、債務者が法人ではなく個人の場合ですが、申立日の属する月以降の供給にかかる使用料は財団債権となりますが(破産法55条2項)下水道と同じく、破産者に直接請求させることが一般的です。なお、開始決定前6か月間の上水道の料金は「日用品の供給」を原因として生じた債権であり、債権者は先取特権を有するので(民法306条4号、同310条)優先的破産債権となります(破産法98条1項)。

4 最後に

以上、水道料金の破産手続における取扱いについて説明しました。破産について一般的な説明については下記の関連記事をご確認ください。

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