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コラム:個人再生と退職金

2024.06.29
1 はじめに

個人再生を考えている方が、サラリーマンで、勤続年数が相当期間ある場合、退職金見込み額の一定額を清算価値に計上する必要があります。そこで、以下では、個人再生手続における退職金の取り扱いについて説明していきます。

 

2 退職金の算定方法

再生債務者が再生計画案認可時までに退職する見込みがない場合、退職金請求権のうち差押さえ可能な4分の1相当額に2分の1を乗じた額を、退職金の額とすることになります。

2分の1を乗じるのは、退職時までに会社が倒産したり、再生債務者が懲戒解雇される可能性など不確定な要素あるためです。

したがって、近々退職金が支払われることが見込まれる場合は2分の1を乗じることなく、退職金請求権の4分の1を清算価値とすることになります。

 

3 退職金の算定基準時

退職金は再生計画案認可時の額を基準とするのが原則となります。もっとも、申立てから再生計画案認可時までの期間が3~4か月程度であり、その間に大幅に増額されることは通常想定されないので、申立時の退職金の額を清算価値とする扱いとなっています。つまり、再生債務者は、再生計画案認可前、改めて退職金の額を調べて報告する必要はありません。

以上は最低弁済額>清算価値の場合は特に当てはまりますが、最低弁済額<清算価値の場合は再生計画案認可直前に退職金の額の再調査を求められる場合もありえます。

 

4 再生計画案認可時までに退職金を受領した場合

この場合、受領した退職金は現金や預貯金と同じ扱いとなります。退職金が高額であれば、弁済額が増えるため、再生計画の履行可能性が問題となる場合があります。

 

5 特別法上の差押禁止財産

中小企業退職金共済、確定拠出年金などは、特別法により、差押禁止財産となっています。これらは、性質的には退職金と同じですが、清算価値には一切計上されません。

 

6 最後に

以上、個人再生と退職金について説明しました。個人再生手続について一般的な説明は下記の記事をご確認ください。

✔個人再生手続についての一般的な説明記事はこちら▶個人再生

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