1 はじめに
破産の場合、例えば養育費支払義務は免責されることはありません。個人再生の場合も、破産と同様、減免されない債務があります。これを債権者側から表現すれば非減免債権といいます。以下、非減免債権について説明していきます。
2 非減免債権の種類
民事再生法229条3項1号から3号において、非減免債権について定めがあります。
すなわち、
①再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
②再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
③再生債務者が負担する婚姻費用、養育費などの義務に係る請求権
になります。
3 非減免債権の取扱い
非減免債権も、再生債権であることには変わりありません(法229条3項柱書参照)。したがって、個人再生申立ての際、他の再生債権と同じく、債権者一覧表に記載しなければなりません。また、再生計画認可決定確定後の弁済も、他の再生債権者と同様に扱うことになります。
もっとも、非減免債権は、再生計画で定められた弁済期間満了時、「当該請求権の債権額から当該弁済期間内に弁済をした額を控除した残額につき弁済をしなければならない。」とされています(法232条4項)。
例えば、非減免債権が200万円、弁済率が20%の場合、再生債務者は、弁済期間中、計40万円を再生計画に沿って弁済すれば足ります。もっとも、再生債務者は、40万円を完済すれば、残り160万円を一括で弁済しなければならない、ということになります。
4 養育費について
再生債権とは、「再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権」をいいます(法84条1項)。したがって、養育費請求権について、非減免債権となるのは、再生手続開始前に発生し既に未払いとなっている範囲に限られることになります。
これに対し、再生手続開始決定後に発生した養育費請求権は、「再生手続開始後の再生債務者の・・生活・・・に関する費用の請求権」に該当するので(法119条2号)、共益債権となります。
共益債権は「再生手続によらないで、随時弁済する。」とされています(法121条1項)。そのため、再生手続開始決定後に発生した養育費請求権の有無・額は、公租公課滞納分と同様、再生計画案の履行可能性の判断に影響することになります。
5 最後に
以上、個人再生と非減免債権について説明しました。個人再生手続について一般的な説明は下記の記事をご確認ください。
✔個人再生手続についての一般的な説明記事はこちら▶個人再生