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コラム:年齢切迫の少年事件

2024.04.19
1 はじめに

もう少しで20歳となる19歳の特定少年の事件について説明していきます。

 

2 検察官送致

家庭裁判所は、調査の結果、本人が二十歳以上であることが判明したときは、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません(少年法19条2項)。

また、家庭裁判所は、審判の結果、本人が二十歳以上であることが判明した場合も、決定をもつて、事件を管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません(少年法23条3項)。

 

3 みなし勾留

調査あるいは審判の結果、少年鑑別所収容の観護措置を取られている本人が20歳以上であることが判明したとき、観護措置は勾留とみなされることになります(少年法45条の2、同45条4項前段)。これを、みなし勾留と呼びます。

みなし勾留の期間は、検察官が事件の送致を受けた日から起算します(45条4項前段)。また、送致事件と同一事件で家裁送致前に勾留されていた場合、勾留延長は不可となります(45条4項後段)。この場合は勾留期間は10日間となります。

勾留場所について、検察官は、「あらかじめ、裁判長に対し、法第十七条第一項第二号の措置により少年鑑別所に収容されている者について法第十九条第二項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)・・・の決定をするときは本人を他の少年鑑別所若しくは刑事施設に収容すること又は・・・留置施設に留置することに同意するよう請求することができる。」とされています(少年審判規則第24条の3)。

 

4 原則起訴強制は働かない

検察官は、「・・家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。」とされています(45条5項本文)。これを、原則起訴強制といいます。起訴便宜主義(刑事訴訟法248条)の例外規定となります。

これに対し、調査あるいは審判の結果、観護措置を取られている本人が20歳以上であることが判明した場合、検察官は、公訴提起を強制されていません。少年法45条の2は、原則起訴強制規定(45条5号)を準用していないからです。

もっとも、上記のような年齢超過による検察官送致の場合、検察官は起訴するのが一般的とされています。

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