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コラム:支払督促の概要

2024.04.16

支払督促の概要を説明します。

1 意義

支払督促とは、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量を目的とする請求について、債権者の申立により、その主張の真否について実質的な審理をしないで、管轄のある簡易裁判所の書記官が、その給付を命じる手続です(民事訴訟法382条、383条)。

2 手続のメリット・デメリット

メリット

・実質的な審理をしないので簡易迅速に債務名義の取得ができる。

・申立手数料が通常の訴訟の半額である。

デメリット

・債務者が督促異議の申立(民事訴訟法386条2項)をすれば、支払督促異議訴訟に移行し(同395条)、結局通常訴訟を提起したのと同じ状態となるため、支払督促の申立てをした分の時間・労力が無駄に終わる。
・支払督促の申立ての管轄裁判所は、通常債務者の普通裁判籍を管轄する簡易裁判所である(同383条1項)。
・支払督促異議訴訟に移行した場合には、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされる(同395条)。そのため、最初から訴訟提起をしていれば、近隣の裁判所で訴訟ができる場合であっても、支払督促の場合には債務者の住所地の裁判所で裁判を行わなければならない。

3 督促異議申立書には何を書くべきか

異議事由は必ずしも、法的反論だけではありません。裁判所の記載例を参照すればわかりますが、特段理由は不要であり、「分割で払う」といった主張でも通常訴訟に移行します。

4 支払督促の効果
⑴消滅時効の完成猶予

消滅時効の完成前に債権者から支払督促が申立された場合、支払督促の申立がされたことによって時効の完成が猶予されます(民法147条1項2号)。例えば、消費者金融からお金を借りている場合、最後に借入れた日又は返済した日から5年を経過する前に支払督促の申立をした場合には、支払督促の終了までの間は、その間に5年が経過したとしても消滅時効は完成しません。

⑵債務名義の取得

支払督促の場合、一定の条件の下、書記官によって仮執行宣言が付されます(民事訴訟法259条1項)。債務者が支払督促を受け取ったにもかかわらず、支払に応じず、あるいは、異議申立もしないという場合、既に発布された支払督促に仮執行宣言を付け強制執行が可能な文書(債務名義)を取得する必要があります。仮執行宣言付支払督促が相手方に送達されて2週間以内に異議申立がない場合、当該支払督促が確定し、強制執行できる書面となります(民事訴訟法391条1項本文)。仮執行宣言の申立は、債務者が支払督促を受け取った日の翌日から14日経過した日から数えて30日間であり、この期限を徒過すると、支払督促は効力を失います(民事訴訟法392条)。

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