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コラム:自筆証書遺言の有効性

2023.12.09
1 はじめに

自筆証書遺言の場合、遺言書の偽造が問題となることがあります。

例えば、公正証書遺言があるのに亡くなる直前に作成されたとする自筆証書遺言が発見された場合、相続人の一人が遺言無効確認訴訟を提起し、当該自筆証書遺言は偽造されたものであり無効であると主張するケースです。

この場合、自筆証書遺言が無効となれば、公正証書遺言に基づき遺産の分配がなされることになります。これに対し自筆証書遺言が有効となれば、公正証書遺言は抵触する部分について撤回されたものとみなされます。そのため、あとは遺留分を侵害する場合は遺留分侵害額請求の問題となります。

 

2 偽造判断の考慮要素

自筆証書遺言の偽造が問題となった場合、一般的には、次のような要素を総合考慮し、偽造の有無を判断することになります。

①筆跡の同一性
②遺言書それ自体の体裁
③遺言の動機、作成経緯、遺言者と相続人(受遺者)との人的関係
④遺言の保管状況

 

3 私的鑑定書の証明力

遺言無効確認訴訟では、原告側が、①の要件に関連して、遺言の筆跡と遺言者の他の場面での筆跡とを比較対照した私的鑑定書を証拠提出することがあります。

裁判所は、筆跡鑑定は科学的な検証が不十分ということもあり、私的鑑定書の証明力を慎重に判断する傾向にあります。例えば、当該私的鑑定書が、遺言書の本文の文字も含めて比較対照されている、多数の筆跡対照資料をもって対照されているのであれば、証明力が高いと判断されるものと思われます。

 

4 最後に

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