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コラム:少年事件の保護処分の統計

2024.03.28

家庭裁判所に送致後の少年が、どの程度の割合でどのような処分を受けるのか説明します。

少年事件は、捜査機関が捜査を終えた後、全件家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。その後、少年は、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致)、不処分、審判不開始、検察官送致等の処分を受けます。少年事件といえば、少年院送致や、保護観察という処分が広く知られているでしょう。また、近年においては、成人年齢に関する法改正や厳罰化の影響により、いわゆる逆送(検察官送致)事件について関心が高まっています。

令和5年版犯罪白書の統計によると、少年事件のうち、一般保護事件において66.1%が審判不開始又は不処分となっています。保護観察処分は24.4%であり、少年院に送致されるのは、6.4%にすぎません。逆送事件は、全体の0.5%(年齢超過は除く。)にとどまっています。逆送事件は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪を犯したことが要件となっており、耳目を集めるような事件であることが多いですが、それが少年事件において一般的ではないということもこの統計から推察されます。

なぜ少年事件の多くが審判不開始又は不処分となるのでしょうか。日本の少年法は、上記のとおり、全件送致主義を採用しており、検察官は全ての事件について家庭裁判所へ送致します。捜査機関は、少年を逮捕し、最大20日間の勾留を終えた後、家庭裁判所に送致します。少年の場合、捜査の段階で当該犯罪についての嫌疑が認められない場合であっても、「ぐ犯少年」(その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年である(少年法第3条第1項第3号))に該当する場合には、家庭裁判所に送致する必要があります。したがって、犯罪の嫌疑の有無に関わらず、逮捕後20日間の勾留を終えると、家庭裁判所に送致されることになるのです。成人の場合、捜査機関が捜査を終えて起訴した場合、第1審における有罪率は96.3%(2021年司法統計)ですので、起訴されればほとんど有罪です。しかし、少年の場合は、嫌疑が十分でない者も含まれているため、家庭裁判所に送致されたとしても、必ずしも少年院送致や保護観察処分となるわけではなく、むしろ、高い割合で審判不開始や不処分という判断がされるのでしょう。この背景には、少年事件が刑事事件と異なり少年の健全な育成を目的とすることを背景に、少年事件における少年の処遇は少年を保護するという観点から行われてるという違いがあります。

以上、少年事件の保護処分の統計について説明しました。お困りの方は、のむら総合法律事務所(事務所紹介)までご相談ください。

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