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コラム:第三者の書面を用いた自筆証書遺言の効力

2024.03.22
1 はじめに

自筆証書遺言は遺言者が全文を自署しなければいけないとされています(民法968条1項)。そこで、遺言者が、第三者が作成した書面を利用して自筆証書遺言を作成した場合、全文の自署していないので無効となるかが問題となります。以下、札幌高判平成14年4月26日を紹介します。

 

2 札幌高判平成14年4月26日

遺言者は、農業共済組合の耕地図上に相続人の氏名を記載するなどし、「遺言下記の通り相続する」旨記載した自筆証書遺言を作成しました。一審は、この自筆証書遺言は方式違反より無効としました。これに対し、控訴審は、以下のとおり述べ、方式違反は認められないとしました。

「・・・民法968条1項は、自筆証書による遺言について、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、押印することを定めているところ、そこにいう「全文」については、遺言の対象や内容を明確にするために写真・図面及び一覧表等を用いること一切を否定するものではなく、遺言者が図面等を用いた場合であっても、図面等の上に自筆の添え書きや指示文言等を付記し、あるいは自筆書面との一体性を明らかにする方法を講じることによって、自筆性はなお保たれ得るものと解するのが相当である
本件記録によれば、日附・氏名の自書及び押印は真正なものと認めることができるのみならず、上記書面に使用した耕地図上に記載された本件当事者の各名称も被控訴人の自筆によるものと認められ・・・、同書面が既存の耕地図を利用して作成されたとの一事をもって、自筆遺言証書が全文自筆によるべきであるという要件に反するというのは、形式的に過ぎ、相当でない。」

 

3 最後に

以上、第三者の書面を用いた自筆証書遺言の効力について説明しました。遺言の一般的なことについては、関連記事をご確認ください。

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