1 はじめに
破産を申し立てようと考えている方が一定の職種の場合、破産手続開始決定から免責決定確定までの間、仕事をすることができなくなります。
一定の職種とは、例えば、貸金業、建設業、宅地建物取引業、旅行業、風俗営業、酒類製造販売業、証券会社の外務員、生命保険募集人・損害保険代理店、警備員のことをいいます。
そのため、例えば警備員の方が破産申立てをする場合、上記のとおり仕事ができなくなるので、破産申立てを断念して個人再生を申し立てたり、職場にお願いして休職したり、警備員から別の部署に配置転換してもらうなどしてもらう必要があります。
そこで、以下では、警備員の資格制限についてもう少し詳しく説明していきます。
2 警備業法上の資格制限
警備業法14条1項は「・・第三条第一号から第七号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない。」とし、同条2項では「警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。」としています。
警備業法3条1号では、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」は「警備業を営んではならない。」としています。
破産法255条1号によれば、破産者は「免責許可の決定が確定したとき」は復権すると定められています。
以上まとめると、破産者は、破産手続開始決定から免責許可の決定が確定するまでの間、警備員になることができません。また、警備業者は、上記の間、破産者に警備業務に従事させることはできません。
3 警備員が債務整理をする場合
以上のとおり、警備員が自己破産をする場合、一定期間、警備業務に従事することができません。そこで、警備員の仕事を続けたい場合、自己破産を回避し、個人再生を選択することが考えられます。
もっとも、個人再生の場合、最低弁済額が定められており、再生計画案の履行可能性が乏しい場合は、警備員を辞めて、別の職種に従事することも考えなければなりません。
その他には、職場の理解があることが前提ですが、破産申立て直前に辞職し、免責決定確定後に再就職したり、休職することが考えられます。
また、破産申立てから免責決定確定までの間、警備職から例えば営業職など警備職以外の職種に配置転換してもらうことも考えられます。
4 最後に
以上、破産における警備員の資格制限について説明しました。警備員の方については、諸事情を考慮し、破産か個人再生を選択することになります。破産、個人再生について一般的なことは関連記事をご参照ください。
【関連記事】
✔自己破産についての解説記事はこちら▶自己破産
✔個人再生についての解説記事はこちら▶個人再生