1 はじめに
法人の破産申立てをする場合、通常は取締役全員の同意を得てから行うことになります(下記の関連記事をご参照ください)。
しかし、取締役が複数おり、取締役の一人が行方不明であったり、破産申立てに反対の意向を示していた場合、準自己破産の申立てを行うことになります。そこで、以下、準自己破産について説明していきます。
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2 具体例
取締役会非設置会社では「取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」とされています(会社法348条2項)。
したがって、取締役が2名で、取締役会を設置していない株式会社の場合、会社の破産申立てを行うのであれば取締役全員の同意が必要となります。
ここで、取締役2名ともが破産申立てに同意をすればなんら問題ないですが、取締役の一人が行方不明である、あるいは破産申立てに反対しているような場合、通常の破産申立てをすることはできませんので、取締役の一人が準自己破産申立てをすることになります(破産法19条第1項2号)。
参考:破産法19条第1項2号
「次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
二 株式会社(省略) 取締役」
3 破産予納金
大阪地裁では、自己破産と準自己破産の場合で予納金額が異なることはないとされています。